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弁護士コラム

刑事事件の違法認定             令和2年12月16日

 解決事例でも紹介した職務質問の留め置きについて、刑事裁判上では任意の限界を超えて違法と認定されたものがある。この事例では、職務質問をされその留め置き中に警察官の有形力行使が問題となった事件である。職務質問では多くの裁判例が存在し一概には言えないが、一定程度の許される有形力と違法とされる有形力に分けることができる。例えば、肩に手をかけたり、手を引くくらいであれば許容されるし、車の発信を防ぐためにキーを抜くなどの有形力は許容範囲とされている。逆に、勝手にポケットの中に手を突っ込んで物を取り出したり、カバンを開けたりするものは事案によって判例もまちまちである。

 今回の事案では、車に乗り込もうとする被疑者に対しそれを阻止しようと警察官が被疑者の後方から羽交い絞めして阻止を試みたというものだ。被疑者曰く警察官数人に囲まれてもみくちゃにされた挙句後方に倒れかけ両足が浮いたというのである。足が浮けば、当然体はコントロール不可能になり自由は奪われる。被疑者といえどもいまだ任意捜査中に変わりはなく行動の自由は保障されているといえ、この行動の自由を制限し強制的に自由を奪うのは強制処分であり、令状なしではできない行為となる。

 そこで被疑者が主張する警察官の有形力行使の瞬間を、カーロケーター映像を解析し見つけ出したのである。警察官が群がり、見ずらくはあるものの確かに被疑者が言うことと符合する場面が映っていたのである。これを証拠として違法な有形力行使を利用して獲得した証拠は違法収集証拠として排除されるべきであると争った。

 結果として警察の獲得した証拠は、肯定されたものの被疑者の後方から抱えて引っ張る行為、ベルトをつかんで引っ張る行為は、任意捜査の限界を超え違法と認定されたのである。

 そこで本来後方に引っ張られて脚が浮いたとする被疑者は、認定内容には納得できず、この違法行為を国家賠償訴訟で争うことにし、現在も進行中である。依頼者は、お金が欲しい訳でなく、刑事事件でたとえ違法認定が出ても、依頼者本人には何ら影響がなかったことで、そうなると警察官のした行為はだれが責任を取るのかというのである。ここで違法とされた行為は裁判ではっきりと違法とされたからには、だれかが責任を取るべきだと主張しているのだ。

 提起した国賠訴訟では、刑事事件で違法とされた有形力行使の場面を注意義務違反と主張し国賠法上も違法であると争っているわけだ。

 結果はまだだが、仮に国賠訴訟で原告敗訴ということになれば、刑事事件で違法と認定されても警察官のしたことは無答責となり結局責任を取る人がいなくなってしまうのだ。警察官は、法を遵守するのが当然の立場であるのならば、原告の言い分が汲まれても当然であるし、任意捜査の過程で警察官の行為が多少行き過ぎても責任は問われないとなれば暴走する警察官が出てくるおそれもあるのだ。権力側の違法行為は厳正に裁いてほしいものである。

 この結果は、また報告しようと思う。

刑事施設と資格取得             令和2年11月12日

  事件を起こして実刑となれば当然刑事施設すなわち刑務所に入ることとなる。初犯であれば初犯刑務所での受刑になり再犯であれば再犯刑務所での受刑になる。近年の刑事施設は、社会復帰後の仕事先、就職先で少しでも役立ててもらおうと各種資格取得を推奨しているとのこと。

 再犯より初犯刑務所の方が各種資格を取り揃えているとのこと。施設の中で取得できる資格は比較的誰でも取得しやすいものが多いと聞く。犯罪を犯し実刑になったとしてもそこで投げやりになったり人生を諦めるようなことはしてほしくない。ものは考えようで、落ちるところまで落ちたからこそできることもあるというものだ。

 刑務所の中は厳しい世界ではあっても、余暇時間は十分ある。その時間を将来のために使うというのは有意義なことと考える。

 どんな資格でも、楽に取得できるものなどないのだから目標を定めそれに向かってひたすら頑張るしかない。弁護士資格もそうなのだが、記憶定着の秘訣は、毎日短時間でも学習するほかない。反復練習、反復学習が一番の学習方法だ。あとモチベーション維持のためには何が有効かといえば、ズバリ目標とする資格を手にしたとき、何ができて、何が変わるか?プラスになることをできるだけ多く書き出すことでやる気がわき、学習にも力が入るはずだ。例えば、名刺一つにしても、肩書に司法書士、行政書士、宅建士などと入った名刺が持てる。たったこれだけのことでも今までとは違う自分がいるようでやる気が出ると思う。

 今からでは遅いということなどないのだから、資格取得を考えている人は、参考にしてほしいと思う。

カーロケーター映像              令和2年9月26日

 皆さんはカーロケーターシステムというものをご存じだろうか?カーロケーターというのは、いわゆるドライブレコーダーみたいなものと考えてくれて差し支えない。愛知県を例にとれば、県内の捜査車両全台に設置済みであり、走行中は常に撮影しているものである。

 システムは、警職法第2条に規定する警察の責務を果たす目的で行われる警察官の職務執行の検証および現に行われ、又は行われようとしている犯罪等の証拠保全に資することを目的として運用することとなっている。これら運用にかかる通達の内容は、都道府県により多少の違いはあると思うが、ほぼ違いはないと考えている。というのも、都道府県によっては、愛知県よりも設置が進んでない県も存在するからだ。

 運用基準によれば、その扱いは厳格で細部にわたって取り決められている。撮影された映像がどんな時にどのように保全され、いつだれが閲覧したか?また、いつ削除されたのかも明確にわかるのだ。

 このカーロケーターシステムの映像が刑事事件において有力な証拠となることがある。今や防犯カメラは至るところについており、犯行現場のリアルなシーンを映し出し、ニュースでも毎日のように見ることができる。それと同様にカーロケーターシステムも客観的な視点で映像を残していることになる。逃走車両に逃げられても映像から事後捜査は可能であるし、事故の瞬間やときには犯罪そのものを記録することもある。ひと昔前であれば、映像など残されていないのが当たり前であったのが、事件によっては客観的映像の存在は、公判証言よりはるかに真実を物語ってくれるものとなるし、時には証言の噓をも暴いてくれるのだ。当然警察の捜査の態様などが映り込むこともあるので、その映像をもとに違法捜査や、追跡などで行き過ぎがないか等も確認できてしまう。ただ一般人はたとえ行政文書開示を行っても映像を記録する基準などは犯罪捜査にかかわる事としてマスキングされてしまうので知ることができない。

 いわば警察が、恣意的取り扱いの下、保存しないことも考えられないこともないわけで、事故、交通違反などの反則切符を切られた時などでどうしても納得がいかないときは、切符にサイン押印などせずにのちに争う姿勢を示せば運用基準通りなら、必ず映像は保存されるので、その映像をもととに潔白を晴らせばいいと考える。こんなことをいうのも友人が制限速度より遅いパトカーを追い抜こうとしたとき、パトカーが速度を上げ並走し、いったん速度を落として走行車線に戻ろうとすればパトカーも減速し、再度追い越しをかけたらまたもや並走され、しびれを切らして速度を上げたら速度超過で違反切符を切られるというあり得ない話をしていたからだ。友人は、ドライブレコーダーがついて無く反論したがなんと警察官に、『裁判でもなんでもしたら。どうせあなたが負けますよ』と言われたそうで、こんな時逆にパトカーの映像に目が向けば何とかなったと思い書かせてもらうことにした。因みに、サインをしてしまえば、警察官は適正な取り締まりだったとして映像は保存されず、上書きされてしまうのでのちに争う姿勢を見せたら保存されるはずなので参考までに。また、職務質問の態様が移っている映像をもとに警察官の公判証言は信用できず違法は重大として無罪が言い渡された判例があることも付け加えておく。

 

職務質問                   令和2年9月24日

 職務質問について思うことを書こうと思う。私は職務質問は必要なものだとは思うが、そのいっぽうで不必要なものもたくさんあると思う。必要という意味では、犯罪の予防・鎮圧はもとより時には犯罪の端緒にもなりうる重要な役割を果たす行政活動だからだ。

 しかし職務質問は、無差別にしていいものではなく、警職法2条の法要件を満たさなくては違法な職質になってしまう。当然違法な職質をすれば主権者は何らかの権利侵害を伴うこともある。また職質が事件を探知し、犯罪捜査に移行したならば、令状発布、のちに逮捕に至るケースがほとんどなわけであるが、仮に警察官の行った職質が、違法性を帯びていればその後の一連の捜査も違法が承継されすべて違法となるのだ。当然その経過をたどれば、警察の獲得した証拠は、違法証拠になることから、裁判で排除されるべきである。証拠がなければ裁判官は罪に問うことはできないわけだから結果無罪となる。

 にわかには信じることができない人もいるだろうが法律上はそうなるのだ。警察官の一方的な主観をもって怪しいとされ、何もしていないのに職質を受けたことがある人は数多くいるはずだ。用事や仕事でいそがしいからと職質を断れば余計に怪しまれ、しつこいくらいに質問され実際に損害が出た人もいると思う。長い時間留め置かれ、いやいや所持品検査に応じたら怪しいものはなく時間を拘束されただけということになる。だったら最初からすべて見せたらいいと思う人もいると思うが、人にはその人なりの価値観があり見せたくないものが何も違法なものとは限らない。

 裁判で職質の違法性を争うことも多いが、全てとは言わないが公務員である警察官には、職質はあくまで主権者の任意の協力の下で初めて成り立つもので、無差別、かつ、権力を振りかざすことは違法にもなりえるということを念頭に公務に励んでほしいものだ。

 憲法は、権力側の暴走を抑止するためにあり、都合よく濫用してはならない。

 最後に職務質問は有効な活動ではあるが、警察官たるものきちんと法に則って活動し、違法な職質までして数うちゃあたる的な職質の裏側で不当な権利侵害を被る人がいることを忘れないでほしいものだ。

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