〒420-0033 静岡県静岡市葵区昭和町3-1 静岡昭和町ビル504号室
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傷害事件のご相談ということしか分からない状態だったので、ご相談後に詳しい弁護方針を示すことにしました。
行きずりの相手から無理由に喧嘩を売られた依頼者(プロボクサー)が,一緒にいた友人に手を出され,自分にも強度の暴行が来たために思わず手を出してしまったという事案です。正当防衛状況ではありますが,ボクサーの場合,手を出した瞬間に則過剰防衛(有罪)となってしまうため,示談がなければ起訴が確定ししまう事案でした。
この事件の特質は,被害者は依頼者と共通の知人がおり,依頼者をプロボクサーと知っていた疑いがあり,分かっていて挑発してきた可能性があるという点です。
依頼者は逮捕勾留されましたが,起訴されれば問答無用でライセンス剥奪となって依頼者の全てが失われるといっても過言ではなく,不起訴が絶対条件の事件でした。つまり,相手方と示談できなければ終わりということです。
勾留期間は20日であり,時間的猶予がないなか相手と交渉を開始したところ,案の定加害者がプロボクサーであることを逆手にとって,極めて法外な示談金の提示があり,とても払えない金額でした。
一つの選択肢としては,依頼者の人生と引き替えであると考えれば,お金をなんとか用意すると言う方法もありました。それは解決としては簡単ですが,しかし法律家が法外な示談金に屈するというのは間違っていると考え,私は同じ法律家である検察官と交渉をする方法を選びました。
幸い被害者は,4人該当者がいるなかで一人分しか被害届を出していなかったという幸運もあったので,検察官に被害者との交渉の実情を話しつつ,とりあえず,被疑事実記載(通常実際の傷害より軽めにかかれる)の傷害の程度から相当といえる被害弁済金を用意し,これを供託するので処分保留で一旦釈放して貰うように検察官と交渉をしました。
何度か交渉をするなかで,検察官も捜査の過程で喧嘩両成敗的側面(つまり被害者側が先に手を出した)を捜査の過程で把握し,またこちらの実情を理解してくれ,処分保留ではなく不起訴(事件終了)にしてくれることを暗黙で了承してくれたために,晴れて被害者は不起訴となって釈放されました。釈放されれば時間的猶予が出来,相手方に足下をみられにくくなります。
ただ被害者は,時期をずらして他3名の被害届を出していたために在宅捜査として継続したため,そこから残りの被害者と更に示談交渉を開始しました。
私としては,法律家として,不当請求には屈しないというスタイルで望み,場合によって民事裁判による適正額の確定も考えているとして相手の過剰な要求を拒みました。最終的に,相手が折れて,全ての者と示談ができました。相手は骨折もしており,後遺症の可能性もあっため,場合によっては数千万円の賠償もあり得た事案でしたが,相当低額な示談金で示談が出来たため,債権債務を精算するとともに,残りの事件の示談も果たしました。
結局被害者全員に対して不起訴と確定したため,ライセンスは剥奪されないこととなり,依頼者は復帰戦も果たし,今も現役続行中です。
この事案では,刑事事件におけるセオリーともいえる,加害行為即高額でもいいから示談という簡単な選択肢ではなく,法律家として法律家(検察官)と交渉をする選択したということが奏功していますが,法律家は常に依頼者にとっての最大限を考える必要があると改めて自覚できた事案です。
プロボクサーを依頼者が継続できたことは,文字通り人生を救ったと実感できる事実であり,この点で,正しい道を選択したと自負するとともに,弁護士は常に正しい道を考え続けなければならないと,ある種の戒めを感じた事件でした。
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